最初は正直、なんて渋い映画なんだろう、と思ったんです。しかも、タイトルは『陶王子』。陶器でできた王子さまがナビゲートする、ドキュメンタリー映画って、何??
けれど、見始めたら、細やかな世界を映し出す映像の美しさに息をのみ、のんさんの朴訥としたナレーションに惹かれ、わたしはすっかり魅了されていました。
普段、何気なく食器棚から器を取り出し、料理を盛り付けて使ってきましたが、それらがどんなふうに誕生し、進化し、今ここにあるのかなんて、想像を巡らせたこともありませんでした。
確かに、粘土遊びって、楽しいですもんね。
はるかな昔、二万年前にこの地球に生を受けた人たちも、夢中になって土をこね、喜びや楽しさの中から、偶然にも「器」を発見したのかもしれません。
そう思うと、今わたしの手の中にある小さな器にも、古代から受け継がれた陶王子の魂と、人類の知恵や工夫の結晶が宿っているように感じられ、敬虔な気持ちに包まれました。
なんてファンタスティックな、ドキュメンタリー映画なんでしょう!
見終わったら、自分の食器棚に控えている器たちを、撫でさすってあげたい気持ちになりました。
こんな気持ちを味わわせてくださった柴田監督に、心からの感謝でいっぱいです。
縁あってわたしのところに来てくれた器たちを、これからはもっともっと大事に使いたいです。