映画「陶王子 2万年の旅」

これは一杯の「器」の向こうにある 2万年の物語

「僕の父は炎、僕の母は土。父と母はどのように出会い、僕は生まれたのだろう?」

星空のもと、盃を重ね自問するのは、器の精霊 “陶王子(とうおうじ)”。陶磁器でできたアニメーションのキャラクターだ。陶王子の夢物語として、映画は展開していく。

縄文から、中国、メソポタミア、ギリシャ、エジプト、果ては西洋のマイセンまで。

地球上の人類の知恵を集めながら発展した「焼き物」=「セラミック」をめぐる、壮大な人類史を描き出す。

あらすじ

人類で最初に土器を手にしたのはユーラシア大陸の東の端で、2 万年前のことだった。縄文も、人類最初の土器のひとつだ。縄文土器を研究する陶芸家・熊谷幸治が、青森で土器誕生の謎に挑む。青森県は、日本最古の土器片(15000年前)が発見された「最古の縄文」の地だ。

1 万年前、メソポタミアでも土器づくりが始まった。メソポタミアでは、窯とロクロが発明され、ロクロはやがて車輪の発明へとつながり、大きな文明の転換をもたらした。

中国には、西アジアから青銅器が伝わり、それまで「神」と崇められていた土器は、その地位を失う。金属器に負けない焼き物を作りたいという中国の陶工たちの努力の結晶として、磁器が誕生した。

白く輝く磁器は、西へと運ばれる。「シルクロード」は「セラミック・ロード(器の道)」となり、西欧では権力の象徴となった。「中国の磁器を真似したい」、ヨーロッパ各国で競争が起こり、その過程で、科学と陶芸が結び付く。それは現代のファイン・セラミックスへとつながり、土器の持つ断熱性は宇宙船の素材としても欠かせない。形を変えた土器は、人類を宇宙へと連れて行った。

この映画を観終えて、あなたが飲む一杯のお茶―――その器の向こうには、人類2万年の創意工夫の跡が見えてくるだろう。

足かけ6年。

始まりは2015年。フランスの人からの手紙。
「一緒に陶磁器のドキュメンタリーを作ろう」と言われ、撮影開始。
中国で人形アニメーションの制作も行い
2019年にNHKのBSプレミアムで最初の放送をした。
その後、さらにアニメーションや撮影を追加して、
2020年にNHKのBS4Kで放送。
放送界では非常に権威あるATP賞ドキュメンタリー部門優秀賞を受賞した。
劇場版では、NHKの放送にはないカットが加わり、ボリュームアップ。
いよいよ完全版として、2021年正月にお届けする。